電力のABC 2012 10 28

A 電力は、大量に貯めておくことができない。

B 電力は、需要と供給を常に一致させる必要がある。

C 電力は、遠くへ送るほど失われる。

 まず、Aについては、ご存知の方が多いと思います。
スマートフォンやノートパソコンを持ち歩いていると、
「電力は、大量に貯めておくことができない」ということは、
よくわかっているでしょう。
 最近では、電気自動車がありますが、
「カタログどおりに走行距離が伸びなかった」という不満も出ているでしょう。
 さて、将来の技術というか、夢の技術があります。
それは、超伝導を使って、蓄電するという方法です。
超伝導状態になれば、電気抵抗がゼロですから、
いったん大電流を流すと、永久に電流は流れ続けます。
 そこで、発電された電力を電力貯蔵装置に貯蔵しておくという方法です。
超伝導コイルは、電気抵抗なしに大電流を流すことができますので、
さしあたって使い道のない電力をコイルに流しておき、
必要になったら、そこから戻して使うという方法です。
このような方法ならば、電力を「貯金」したことになります。
今のところ、夢の技術です。
 次は、Bでしょうか。
これは、知らない人が多いと思います。
「電力は、需要と供給を常に一致させる必要がある」
 電力の需要は、一日の中で、刻々と変化しますが、
電力の需要が増えたら、電力の供給を増やし、
電力の需要が減ったら、電力の供給を減らす必要があります。
 多くの人は、「ちょっと待ってほしい。
電力が足りなくなると困るのは、わかるが、
なぜ、電力が多すぎると問題があるのか。
作りすぎは、なぜ問題なのか」と思ったでしょう。
 これは、周波数の問題を考える必要があります。
科学雑誌「ニュートン 1月号」(2012年)から引用しましょう。
 電力が余ると、交流の周波数が狂ってしまうからです。
電力が余った状態では、
その大元である発電機の回転数を上昇させようとする作用が働き、
結果的として、周波数が上がってしまうのです。
逆に、電力不足となると、周波数は、下がります。
(周波数は、関東では50ヘルツ、関西では60ヘルツです)
 周波数が、本来の値から、ずれると、
周波数に基づいて決まるモーターの回転数が変動して、
工場での工業製品の製造に影響が出る場合があると言います。
 その許容範囲は、0.2から0.3ヘルツ程度までとされています。
また、周波数のずれが数%に達すると、
発電機が故障する可能性が出てくると言います。
 このため電力の需要と供給は、
ほぼ、ぴったりと一致していなければならないのです。
 電力会社では、周波数の変化を見て、
需要の変化を推測し、それに合わせて発電量を調整することで、
この問題をクリアしています。
(以上、引用)
 最後のCですが、これも知らない人が多いと思います。
「電力は、遠くへ送るほど失われる」
 これを簡単に説明すると、
電気は、電線の中を進むとき、熱となって失われていくのです。
冬にスマートフォンを手のひらに乗せると、暖かいと感じませんか。
昔は、パソコンのCPU(大規模集積回路)で、卵焼きができると言われました。
CPUが発する高熱で、卵が焼けるのです。
ただし、そのような状態では、CPUは故障してしまいます。
そういうわけで、CPUファンでCPUを空冷しているのです。
 話が長くなりましたが、
理想を言えば、電力は、「地産地消」が望ましいのです。
つまり、地元で取れた電力を地元で消費することが望ましいのです。
 そうなると、都市部は、困ってしまうのではないか。
そこで、ひとつの解決方法があるのです。
 私が子供の頃、
50万ボルトという、途方もない高電圧の送電線を造るという計画に、
地元では、反対運動が起きたことがありました。
 これほどの高電圧でも、
「健康被害はない。安全だ」と説明があったにもかかわらず、
反対運動がありました。
 電力を遠くまで送るには、「超高電圧」にするしかないのです。
高校の授業で習ったと思いますが、
電圧が高ければ高いほど、送電損失が少なくなります。
 最近は、50万ボルトどころか、
ちょっと怖い感じがしますが、100万ボルトによる送電も計画されています。
100万ボルトの送電線が出現するかもしれません。











































































トップページへ戻る